▼レイプにあったOLのケース
21歳になるOLのAさんは、2ヶ月ほど前、残業をして帰宅の途中、男に脅されてレイプされてしまった。事件後しばらくのことは、何も覚えていない。今も暗いところが恐ろしくて、夜も明かりを全部つけたまま、それでもほとんど眠れない状態がつづいている。外出しようとしても、男性を見ると恐怖感から心臓が苦しくなって外に出られない。何をする気にもならず、ただボーッと過ごす毎日だ。
▼息子をなくした母親のケース
Bさんは、1年前6歳になる息子を交通事故でなくした。お葬式のときは感情がなくなったようで涙も出ず、夢を見ているようだった。その後はほとんど眠れず、食欲もない。事故のことを思い出してばかりで、何も手につかない。テレビで事故のニュースも見られないし、事故のあった場所にも近づけない。あの日、息子を遊びにいかせた自分を責める毎日がつづいている。
▼幼児期に性的な虐待を受けて育ったCさんのケース
幼いころ、同居していた叔父から性的虐待を受けていた23歳のCさん。人とうまくつきあえず、常に不安でビクビクしており、安らぐことがない。過食や拒食をくり返し、時には重いうつ状態になり、「自分には生きている価値がなく、死んだ方がいい」と思ってすごしてきた。人にノーといえず、性的なことを強要されても断れない。夢でうなされることも多く、熟睡することはほとんどない。
上の3つのケースは、トラウマの後に起こる反応の例で、PTSDという病気の典型的な症状です。PTSDは、Posttraumatic Stress
Disorderの略で、“心的外傷後ストレス障害”と訳されています。1980年にアメリカで名付けられた病気で、日本では1995年の阪神・淡路大震災以来、マスコミにも取り上げられ、一般にも知られるようになってきました。
普通では対処しきれない、ショッキングな出来事に遭遇した後に、典型的な症状のいくつかが一ヶ月以上つづき、日常生活を送ることも困難な場合に、PTSDと診断されます。
|