Illustration/高橋カオリ
住宅ローン金利の主な種類としては、借入れ時の金利が完済時まで変わらない「固定金利」と、市場の金利と連動して金利が変わる「変動金利」がある。このうち固定金利には、さらに「全期間固定金利型」と、最初の一定期間が固定で期間終了後どちらかを選択できる、「固定金利期間選択型」の2種類に分かれる。
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- 全期間固定金利型
- 完済するまでの全期間、ローン実行時(公的融資等は申込時)の金利が適用されるローン。各金融機関が取り扱うが、住宅金融支援機構が民間と提携してスタートした、最長35年間の固定金利「フラット35」が代表的。

- 固定金利期間選択型
- 選択した最初の一定期間が固定金利で、期間終了後に固定金利のまま継続するか、変動金利に変えるかを選ぶ。選択できる固定金利の期間は商品によって異なり、1~35年と幅広い。

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- 変動金利
- 金融情勢の影響でレートが変わる金利。一般的に半年毎に金利は見直されるが、返済額は5年おきに見直される。金利割引サービス「優遇金利」の利率が高いことも特徴。

実際にローンを組むとしたら、固定金利と変動金利のどちらがいいのだろう? 3つのポイントでそれぞれの金利を比較してみよう。


- 固定金利のメリットは、返済スタート時の金利が完済まで変わらないということ。ローンを組んだときに、毎月の支払額やトータルの返済額がわかる透明性が魅力で、家計のやりくりもしやすい。変動金利のように「将来的な返済金額が見えにくい」という心配もなく、安心感という観点でいえば、固定金利が断然オススメだ。

- 家計プランを立てる際、常に金融機関の動向を気にする必要があるなど、何かと面倒な変動金利。大幅な利上げと5年ごとの改定が重なった際には、返済額の上げ幅が1.25倍以内に抑えられる措置もあるが、これは免除ではなく、1.25倍を超えた分の支払いを先延ばしにしているだけ。総返済額も最後までわからない。


- バブル期、長期固定金利の代表であった住宅金融公庫融資は5.5%ほどあったが、現在のフラット35は3.0~3.2%ほどで推移している。そのため昔を知る世代にとっては、「かなり安くなった」という印象も強い。ちなみに、フラット35では一般にいう金利優遇はないが、金融機関独自のローンでは優遇金利は適用される。金融機関や各種条件により異なるが、優遇後の金利も3%前後と、大して変わらないことがほとんどだ。

- 利率の大幅な変動が気になるところだが、バブル期を含む過去20年間の平均は約4%と、それほど高くはない。しかもいまなら、大手銀行では2%台にまで落ちている。優遇金利の優遇幅も平均的に大きく、1.4~1.5%が優遇されることも。条件によっては完済まで優遇率が変わらないため、仮に将来的な平均金利が4%だったとしたら、総返済額は固定金利よりも安上がりだ。


- 長期固定金利の代表格であるフラット35の利率設定は、10年国債の利回りなどをベースに決まってくる。国債の利回りは、景気回復の見通しが立つと高くなるのが一般的。しかし国債の取引は半年~1年後の景況を先読みして行われるケースもあるため、「国債の利回りが上がり、固定金利も高くなったのに、景気は悪いまま」など、市況の実態とのズレが生じないとも限らない。

- 変動金利は、銀行が信用の高い企業に1年以内の短期で貸し出す短期プライムレート(最優遇貸出金利)+1%で決定する。短期プライムレートは日本銀行による金利調節に連動することが多い。レートが大幅上昇に転じるのは、景気が好転し始めてから。そのため市況の実態を反映しやすく、毎日の経済感覚に近いレートである点も嬉しいところだ。


- 「職業柄、収入は安定していますが、大幅な増収が見込めないため、確実性から固定金利を選びました。固定金利は変動金利などよりも適用金利は高く、『変動金利のほうが総返済額は安くなりそう』という話も聞いていました。ですが、完済する30年以上先までに好景気時代がこないとは言いきれませんよね。変動金利ならそのような不安をぬぐえませんが、固定金利なら一気に上がる心配もありません。保険をかけているようなものと思えば、割高であることもさほど気になりませんよ」


- 「相談したFPの先生が『過去20年間の平均利率をみても4%程度』と言ってましたし、何より優遇金利の利率の高さに惹かれて、変動金利にしました。ただ、30年以上先の経済状況はまったく読めず、大幅上昇への不安がないといえば嘘になるでしょうね。でも5年後くらいであればそれほどの変化もないと予想していますし、ちょっと楽観的かもしれませんが、今はバリバリ働いてどんどん稼ぎ、低金利で返せるうちに繰り上げ返済をしていきたいですね」
固定金利、変動金利それぞれにメリットとデメリットがあるが、一番気になるのは「どちらが返済額を抑えられるのか」ということ。今後も利率が変わらないのであれば、優遇利率も高い変動金利のほうに分があるだろう。ただし変動金利は市況変化にともなう上昇も想定しなくてはならず、購入者も意見していたように、返せるうちに繰り上げ返済していくことが重要だ。反対に専業主婦世帯などであれば、安定性を重視して固定金利を選んでもいいだろう。いずれにせよライフスタイルや金銭観などを総合して、自分に合ったローンを組むことが大切だ。

- 海宝FP事務所
代表 海宝賢一郎 - CFP(R)(ファイナンシャルプランナー)、宅地建物取引主任者等の資格を持つお金と住宅のプロ。各種セミナー講師を務める傍ら、雑誌や新聞に原稿を執筆する。
「金利利率は、今後の景況の見通しに連動して先に固定金利が動き、その後変動金利も見直されるのが一般的です。実は最近、固定金利が少し上がりました。近い将来、景気が回復してくれば変動金利も利上げされる可能性があります。とはいえ、今なら大手都市銀行の変動金利は2.475%というのが一般的で、ここから優遇金利の1.5%を引くと、なんと0.975%という低さになる。仮に35年ローンとした場合、6~35年後の優遇金利を除いた平均利率が5.56%を超えない限り、総返済額が固定金利(フラット35:金利3.3%で試算)を上回ることはありません。これほどの高金利が30年も続くとは考えにくいですよね。ただし今後、景気が回復していけば利上げに転じるのはほぼ確実なので、低金利である今のうちに積極的に繰り上げ返済できる見通しが立つのであれば、変動金利をオススメします」
海宝FP事務所:http://www.kfp.jp/
※本特集の内容は2009年4月23日現在のものです。
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