以前、銀座の某クラブのママが思いきってマンションを購入するか、それとも現在のまま賃貸で暮し、老後の介護付有料老人ホームのために貯金しておくか悩んでいらっしゃいました。当時は、華やかなママの老後など想像もできませんでしたが、子供もいない女の一人身では考えておかなくてはならない問題なのかもしれません。
不動産の購入を検討されている方の多くは居住用がメインだと思われますが、これからは、介護付きマンションの購入の検討も考える時代になってきたのかもしれません。
いま、私も親の介護を考えなくてはならない年代になったのだと思いながら、行政が提供している施設(特養)に問い合せをしてみると、1施設で100人以上入居を待っている状態です。
介護付有料老人ホームは、都内の1LDKで安くて3,000万円、グレードがよいと5,000万円程度の入居一時金が必要です。入居一時金とは、入居する際に家賃や管理費等の前払金を一括して支払い、入居時年齢によって予め設定された期間・償却率で償却されていく仕組みです。例えば、入居して5年目で不幸にもなくなってしまった場合、残りの2年間分の未償却分を返金するという仕組みです。また、物件は利用権であり他人に譲渡ができません。
今の世の中、大手金融機関でさえ破たんする時代ですから、運営する会社そのものが5年後に破たんしない保障はありません。そう考えると、民間の施設を検討するにしても、サービス内容だけでなく、運営会社の財務状況などよく調べなければなりません。
日本では介護セクターにリスクマネーがほとんど入っていないようで、高齢者施設を対象とする不動産ファンドはすでに設立されていますが、米国のように医療や介護施設を対象とした、上場されたヘルスケアREITがまだありません。
そんななか、介護系の高齢者住宅の特化型ファンドの運営会社では、リエゾン・パートナーズ(http://www.liaison-partners.com/)が投資実績を持ち、機関投資家向けにいくつかの私型ファンドを組成されております。
リエゾン・パートナーズ社の代表取締役、秋元二郎氏にお話を伺うと、下記のようにおっしゃっていました。
「介護と医療は、超高齢化社会を迎えた日本にとって今後より充実すべき必要な分野です。介護施設にしても、高額な入居一時金に依存した事業モデルではなく、賃貸住宅同様に入居者の住替えの自由度(流動性)を確保させることが必要でしょう。また、運営の透明性をもたせるためにも、資本市場からのリスクマネーの供給は不可欠であり、証券取引所を通じて取引ができる上場REIT化を目指しています」
不動産ファンドも、不動産投資のノウハウをもって介護施設を対象とした投資に活かすことはできると思われますが、デメリットは介護事業運営の透明性がないことです。一部の不届きな介護事業者の不祥事もあり、この点を克服しないと必要な分野に資金が集りません。
上場REITであれば、他の株式、債券、通貨、コモディティと同じく透明性のある商品設計が可能です。クリアしなければならない問題も山積かもしれませんが、介護や医療を対象としたJ-REITの創設を期待したいところです。
政府が介護保険の一部などで、REITの仕組みの中で医療・介護の破たんリスクを下支えすれば、通常のREITより若干分配金が低くても、長期安定という観点から退職者の資産運用にも適しております。証券市場を通じて流動性が確保できれば、個人投資家も安心ですし、これにより事業者の不動産コストが大幅に下ることで、必要な施設がもっと手の届く範囲で提供されていくだろうと思われます。
金融危機で、証券化に対して疑心暗鬼になる方もいると思われますが、不透明な時代だからこそ、流動性が確保され、商品の透明性を提供している上場投信のETF(ETN)が米欧では金融商品として成長拡大しております。
ETF最大手のバークレイズ・グローバル・インベスターズ(BGI)によれば、7月末現在で、世界のETFは1,768本、ETNやクローズ・エンド型の上昇投信を含めれば、3,129本の上場本数があります。ETFを提供企業は94社、世界の42の取引所に上場されており、昨年からの資産拡大率は21.2%に達しています。
日本でも医療や介護のJ-REITを上場し、世界の証券取引所にも上場すれば、世界の投資家から資金を集めることも可能です。
少しでも介護で悩む方達にとって、助けとなる金融商品ができることを望んでいます。

- 銀座クラブホステス、会社経営者の顔を持つ個人投資家。海外の資産運用情報を発信するWEBサイト「グローバル化時代の資産運用-ハッピーリタイアメントを目指して」を主宰。著書に『夜の銀座の資本論』(中公新書ラクレ)、『グローバル化時代の資産運用―ハッピーリタイアメントを目指して』(パンリーリング)がある。 http://kaigaitoushi.com/
上記の記事は、2009年8月25日現在のものです。掲載情報の著作権は株式会社ホームアドバイザー(以下:弊社)に帰属します。情報内容は保証されるものではありませんので、万一この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、弊社および情報提供元は一切の責任を負いません。
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