健康

【医師監修】PTSD(心的外傷後ストレス障害) 女性のこころとからだ事典



■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 こころ編 記事監修
臨床心理士
東京カウンセリングセンタ ー所長。カウンセリング歴20数年
菅野 泰蔵 先生
 
精神科医
医療法人菅野愛生会副理事長、 緑ヶ丘病院医局長
菅野 庸 先生

 
PTSD

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

幼児虐待、性的暴行、誘拐、強盗、交通事故、友人や肉親の自殺の目撃などの被害者がなりやすい病気で、自分の力では治めきれないと思ったら、カウンセリングを利用することが大切です。

●PTSDってどんな病気?

ショックなことに遭遇すると、心は平常ではいられなくなることがあります。身近でいえば、失恋したときとか、試験に落ちたとき。そんなとき、食欲がなくなったり、眠れなかったりとか、抑うつ的になったりしても不思議ではありません。このような現象が「PTSD」です。日本語では「外的心傷後ストレス障害」といわれていますが、何らかのできごとが心に傷(トラウマ)を残し、それによって、その後も心理的障害に悩まされるというものです。

●どんな人が「PTSD」になりやすい?

PTSDとは、もともとアメリカでベトナム戦争の帰還兵たちの様子から観察されたものですが、日本では、阪神・淡路の大震災のとき以来、この用語が多くつかわれるようになりました。この災害にあった人の多くが、その後も、不安や抑うつ状態を示したりするのです。一人で風呂やトイレに入れない、ちょっとした音に驚くなどです。

ひどくなっていくと、生きている希望が持てないというようなことにもなります。地下鉄サリン事件に遭った人が、いまでも、地下鉄や乗り物が怖いというのも、PTSD。これはすべての「心の問題」の原型になることかもしれません。
人生では、不幸な事件に遭ったり、苦しかったり、悲しかったりするできごとが起こるのは、避けられないこと。問題は、できごとを回避するのではなく、その対処の仕方にあるのではないでしょうか。もし、悲しかったら泣き、怒るときには怒る、絶望するときには嘆く、といったことが禁じられているとすれば、それらの感情はどこに行くのでしょう?そのような時こそ、自分を目一杯に表現することと、それを受け止めてもらう人を必要とするわけです。
【PTSDになりやすいタイプ】

過去に不幸な事件に遭遇した人
心に問題を抱える人
過去に強い苦しみや、悲しみの経験がある人

●PTSDの予防と対処法
PTSDで重要なのは、何をおいても、自分の思いを表現することです。つまり、ここには、カウンセリングの原点もあるでしょう。災害や大きな事件ばかりでなく、誰の人生にも、さまざまに自分を悩まし苦しめるできごとが起こりえます。そのとき、自分の力(資源)ではおさめきれないと思ったら、どのような内容でも、カウンセリングという場を利用することをおすすめします。もちろん、重い状態のときには、安定剤などの投薬も必要です。
illustration/Tomoe Sasaki

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