健康

【医師監修】STD(性感染症)PART1-2 女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 からだ編 記事監修
東京都立築地産院産婦人科医長経て
いけした女性クリニック銀座 院長
池下 育子 先生

産婦人科医
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック理事長・院長
賀来 宗明 先生

STD特集 Part1

●STDはなぜ危険?
1.感染に気づきにくい

STDの多くは、潜伏期間が長いのです。感染しても、数週間から数ヵ月、中にはHIVのように数年~数十年たってから症状が出るものもあります。ですから「自分で感染に気づかないまま、何人もにうつしてしまう」、ということが起こってきます。誰からうつったのか特定できないケースが多くので、恋人や夫婦間でトラブルのもとになったりすることも。

また、クラミジアのように男女とも自覚症状がほとんどないものは、感染に気づかないまま病気が進行してしまうというこわさもあります。このために激増しているクラミジアは、今後も増えていくだろうといわれています。東大の統計では、妊婦の5~8%、女性大生の20%が、クラミジアに感染しているという結果が出ているのです。

2.彼との間でピンポン感染
女性が感染に気づいても、自分だけそっと治療するのでは意味がありません。感染しているパートナーとセックスすれば、またうつってしまいます。「彼に覚えがなかったらどうしよう。私が原因かも」とか「私じゃないわ。あなた浮気したんでしょ」などと、責め合っても仕方ありません。ふたりできちんと治療しましょう。
3.合併症から不妊に
感染に気づかずに放っておくと、子宮頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内感染症など感染が広がり、不妊の原因になってしまうこともあります。いざ「赤ちゃんが欲しい!」と思ったときには手遅れということだってあるのです。

4.母子感染の危険も
実際、妊娠初期の検査でSTDが見つかるケースも少なくありません。感染が進むと、妊娠しても子宮外妊娠や流産、早産になることも。妊娠初期に見つけて治療すれば大丈夫ですが、もし感染に気づかずにいると、出産のときに赤ちゃんに感染し、死にいたることだってあるのです。
●こんな症状には要注意!

・ おりものの量、色、においがいつもと違う
・ 外陰部に痛みや熱、かゆみがある
・ 外陰部にできものやしこりがある
・ 軽い下腹部痛がある

●もしかして……、と思ったら?

STDのほとんどは、治療すれば簡単に治ってしまいます(HIV感染症・エイズのように命にかかわるものもありますが)。思い当たることがあれば、すぐに婦人科を受診しましょう。血液検査や膣分泌物検査でわかります。


●STDを予防するには?

コンドームを使う
最初から最後まで、きちんとコンドームを使いましょう。もちろん、自分もパートナーも検査をして、STDに感染していないことがはっきりしていれば、使わなくてもOKですが。

正しい知識を持つ
STDのことはなんとなく知っていても、「自分は大丈夫だろう」と思っていませんか。避妊もや病気予防も、彼まかせではあまりに危険。いざというときのために、STDや自分のからだについて、きちんと知っておくことも大切です。

text/Mami Kakuta
illustration/Tomoe Sasaki

関連記事

ページ上部へ戻る