健康

【医師監修】月経の異常PART2|女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 からだ編 記事監修
東京都立築地産院産婦人科医長経て
いけした女性クリニック銀座 院長
池下 育子 先生

産婦人科医
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック理事長・院長
賀来 宗明 先生

月経の異常

【生理不順】

生理不順といっても、1回ごとに5~6日早まったり遅くなったりするのはよくあることです。また、周期が長くてもだいたい一定のリズムで生理がくれば心配はいりません。周期の数え方ですが、前回の生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数を数えます。

●生理周期が長い「稀発月経】
生理と生理の間が39日以上あくものを稀発月経といいます。何らかの原因でホルモンのバランスが崩れて、排卵が遅れることがあります。周期が長くても、一定のリズムで生理があって、排卵があればあまり心配はいりません。ただ、強いストレスで視床下部の機能がおかしくなっていると、生理の周期がどんどん長くなって3ヶ月以上あいてしまうこともあります。こうなれば無月経なので、早めに婦人科を受診しましょう。
●生理周期が短い「頻発月経」
生理から生理までの間が24日以内のものを頻発月経といいます。

*黄体機能不全
排卵があって生理周期が短い場合は、黄体機能不全が考えられます。黄体期は普通12~14日間ですが、何らかの原因で黄体ホルモンが不足して短くなってしまうのです。

*無配卵性出血
ホルモンが安定していない思春期や、卵巣機能が衰えてくる更年期に多くみられます。卵子の発育が途中で止まってしまい、排卵しないまましぼんでしまうと、卵胞から出ていたホルモンが出なくなって出血しますが、排卵はしていません。

●だらだらと出血がつづく「過長月経」
出血が8日以上つづきます。

*無排卵の可能性
 無排卵性の出血は、少ない血量で10日以上もつづくことがあり、たいていは周期も不順です。生理が終わったと思ったらまた出血するということもあります。基礎体温を測ってみると、低温期だけで高温期と2層にならないのが特徴です。排卵を起こすように治療を受ければ、順調に戻るでしょう

*子宮の病気
 子宮筋腫や子宮がん、子宮膣部びらんなどの病気が原因のこともあるので、一度検診を受けましょう。

●生理がすぐ終わる「過短月経」、経血量が少ない「過少月経」
1~2日で生理が終わってしまうものを過短月経、量が少ないものを過少月経といいます。初潮後や更年期にありがちですが、ストレスなどで卵巣機能が低下したり、器質的な病気が原因の場合もあります。

*卵巣機能の低下
卵巣機能が衰えてくる更年期に起こりがちですが、ストレスやスポーツのしすぎ、ダイエットなどが原因で卵巣機能が低下している場合もあります。放っておくと無月経になってしまう可能性もあるので、更年期に達していない場合は早めに婦人科を受診しましょう。

*子宮の異常や病気
 子宮筋腫や子宮内膜症が原因で経血量が少なくなることもあります。また子宮が十分に発育していない子宮発育不全なども考えられるので、一度診察を受けるようにしましょう。

●生理不順の治療
生理不順の治療には、その原因に応じてさまざまな治療法があります。無月経には不足しているホルモンを補ったり、排卵がない場合は排卵誘発剤で規則的な排卵のリズムをつくります。精神的ストレスが原因の場合は、カウンセリングなどでのケアも行います。診察の際は、何ヶ月か基礎体温を測って、表を持参するといいでしょう。基礎体温表から排卵の有無や黄体機能不全などがわかります。普通は低温相から高温相にかわるときに排卵があるので、ずっと低温なら無排卵ということになります。
【経血量の異常】

●経血量が多い「過多月経」
経血量には個人差がありますが、レバーのような血の固まりがたくさん出たり、ナプキンをまめに替えても下着を汚してしまうようなら、過多月経かもしれません。過多月経は、子宮筋腫や子宮内膜症など器質的な病気が原因で子宮が大きくなり、血量が増えているケースもあります。特に、だんだん量が増えてきた、という場合は要注意。早めに婦人科を受診しましょう。検査をして子宮に異常がない場合は、ピルで一時的に排卵をとめると出血量が減ります。また過多月経は貧血になりがちなので、鉄分を多めに摂るなど食生活にも気配りが必要です。

【不正出血】

生理以外の出血を「不正出血」といいます。ホルモンの変動によるものと子宮の病気によるものがありますが、素人判断は禁物。生理以外の出血がある場合はすぐに婦人科を受診しましょう。

*中間出血
生理が始まる2週間前ごろの排卵期に、出血することがあります。これはホルモンの変動によるものなので、特に心配はいりません。

*子宮に病気がある
子宮頸管ポリープや膣炎、膣部びらんや子宮内膜症、子宮筋腫、子宮がんなどの器質的な病気が原因で出血することもあります。

text/Mami Kakuta
illustration/Tomoe Sasaki

関連記事

ページ上部へ戻る