健康

【医師監修】STD(性感染症)PART3-1 女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 からだ編 記事監修
東京都立築地産院産婦人科医長経て
いけした女性クリニック銀座 院長
池下 育子 先生

産婦人科医
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック理事長・院長
賀来 宗明 先生

STD特集 Part1

1. カンジダ膣炎

菌自体はふだんから膣内にいて、抵抗力の落ちたときや妊娠中、抗生剤を長く飲んでいる人などに発症します。正確には性感染症ではありませんが、たいへん多い病気です。

●カンジダ膣炎ってどんな病気?
カンジダ膣炎は、カンジダ・アルビカンスという真菌(カビの一種)が、膣内で繁殖して起こる病気です。この菌は、腸内や膣内に常在しているので、普通はなんともありませんが、体の抵抗力が弱まったりして異常に繁殖すると、炎症を起こすのです。セックスや、まれに風呂(タオルなど)で感染することもあるので、STDとして考えられることもありますが、セックスに関係なく抵抗力が落ちたために発症することがほとんどです。
●症状は?
膣内や外陰部、肛門にかけて強いかゆみがあり、性器が赤く熱を持ったようになります。かゆみは、夜あたたまるとひどくなり、眠れないことも。白っぽいおりものが増え、やがてヨーグルトやカッテージチーズのような状態になります。においは、あまりきつくありません。

慢性化してしまうと、普段はほとんど症状がないのに、体の抵抗力が落ちたり、生理が近くなるたびにかゆみが出ることがあります。また、かゆみはそうひどくなくても、セックスのときの痛みや出血、膀胱炎に似た痛みが出るケースも。治療のときは、医師のOKが出るまできちんと治療することが大切です。

男性の場合、症状があっても軽い排尿痛やかゆみ程度なので、ほとんど感染には気づきません。

●なりやすい人はいる?
・体調をくずしている人(特に生理前)
・妊娠中
・糖尿病の人
・抗生物質を長期間服用している人
・ダイエットなどで栄養状態が悪い人
●妊娠・出産への影響は?
妊娠中は抵抗力が弱まっているため、カンジダ膣炎にかかりやすくなります。出産時にかかっていると、産道で赤ちゃんに感染して、カンジダ性口内炎を起こすことがあるので、注意しましょう。

●検査・診断は?
視診でわかることもありますが、おりものを顕微鏡で見たり、培養して確定します。培養しても陰性であれば、心配ありません。
●治療は?
膣座薬と抗真菌剤の入った軟膏で、7~10日間程度治療します。感染源はセックスとは限りませんが、可能性がある場合はパートナーも治療しないと、感染を繰り返すことになります。

甘い物は、この菌の栄養になるので症状がある間は控えましょう。また、セックスはやめて、規則正しい生活をすごすことも大切です。


●予防方法は?
慢性化に悩む人も多いカンジダ膣炎。以下のことに注意しましょう。
・ストッキングやガードルなどでむれないように気をつける。
・下着やナプキンはこまめに取り替える。
・体の抵抗力が落ちると症状が出るので、規則正しい生活を送り、
 疲れたと思ったら体をやすめる。
・石鹸で洗いすぎると自浄作用が落ちるので、洗いすぎない。
・トイレでペーパーを使うときは、前から後ろへ。
 温水洗浄便座を使う場合、外陰部を洗ってから肛門周辺を洗い、

 最後に外陰部を流せばベストです。
text/Mami Kakuta
illustration/Tomoe Sasaki

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