健康

【医師監修】対人恐怖症|女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 こころ編 記事監修
臨床心理士
東京カウンセリングセンタ ー所長。カウンセリング歴20数年
菅野 泰蔵 先生
 
精神科医
医療法人菅野愛生会副理事長、 緑ヶ丘病院医局長
菅野 庸 先生

 
対人恐怖症
対人恐怖症は、他人と同席するような場面において強い不安や緊張感を覚えるもの。普通の人にも起りますが、その程度が強く、日常生活に支障をきたしたり、本人がそれに強く悩むようになってくると治療が必要になります。
対人恐怖症
●対人恐怖症ってどんな病気?

対人恐怖症は、日本では最もポピュラーな神経症。人前で緊張すると「あがる」という経験は誰にでもあると思いますが、この「あがる」度合いが、かなり強くなったものと考えればいいでしょう。人前で顔がカーッと熱くなったり、赤面したりする「赤面恐怖症」、人と視線を合わせられない「視線恐怖症」などがその代表です。

●どんな人が対人恐怖症になりやすい?

思春期などに、「自分が人からどう見られているのか」が気になり始めるころには、誰でも一過的に「対人恐怖的」になるもの。ほとんどの人はやがて気にならなくなりますが、その状態が青年期を通してもずっとつづいてしまう場合もあり、それが対人恐怖症として定着するようです。そういう場合、もともと神経質な人ではあるようです。

「対人恐怖症者」は、一般的に “自意識”と呼ばれるものが人並み以上に強く、その悩みも苦しみも、ほとんど本人の「意識過剰」からくるものです。「他人はそれほど自分に注目しているわけではない」と頭ではわかっているのですが、それでもその意識から抜け出すのは、彼らにとって容易なことではありません。ですから、なかなか「自分を出せない」という人が多く、当然、新しい環境になじむまでに時間がかかります。

しかし、一度うちとけてくると大丈夫。もともと気づかいに優れていますから、慣れてくるにしたがって周囲からの信頼を得、評価も上がってくることが、人間関係のひとつのパターン。また、何ごとにも慎重なために、大きな失敗をしないのも利点といえるでしょう

【恐怖症になりやすいタイプ】

  • 思春期には誰もが一時的になるもの。それが思春期をすぎてもつづくと「対人恐怖症」として定着する
  • どちらかというと神経質な人
  • 自意識が人並み以上に強い人
  • 気遣いがある人
  • 何事にも慎重な人
●対人恐怖症の予防と対処法

対人恐怖は、思春期的な問題を背景にしているので、30歳くらいになるまでには、自然によくなることが多いものです。さまざま人間関係を経験していくうちに人への警戒心が薄れ、同時に、自意識も弱まっていくわけです。不安が強い場合には、精神安定剤を使う場合もありますが、カウンセリングで自分を十分に表現し、自信を持って現実の人間関係をこなしていくのが理想的といえるでしょう。

illustration/Tomoe Sasaki

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