健康

【医師監修】子宮がん検診 子宮ガン 女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 からだ編 記事監修
東京都立築地産院産婦人科医長経て
いけした女性クリニック銀座 院長
池下 育子 先生

産婦人科医
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック理事長・院長
賀来 宗明 先生

子宮がん特集 Part1
子宮がんは、初期には自覚症状がないので、みつけるには検診を受けるしかありません。検診は、痛みもなくすぐに終わる簡単なもの。年に一度は、チェックしましょう。

●子宮がん検診はどこで受けられるの?

婦人科で受けられます。検診には「頸がん検診」「体がん検診」の2種類ありますが、通常行われるのは「頸がん検診」です。閉経後、また不正出血のある人や生理不順ぎみの人は、すすんで「体がん検診」も受けるようにしましょう。主に30歳以上を対象に実施している自治体で検診サービスはぜひ利用したいもの(検査料は自治体によって異なります)。自費で受ける場合の検査料は、3,000~8,000円程度です。

●検診は、何歳からどのくらいの頻度で受ければいいの?

子宮頸がんは、セックスの経験があれば誰でもなる可能性があります。20代から進んで受けるようにしたいものです。できれば年に一度、子宮があるかぎりつづけることが大切です。

【子宮頸がん】

●子宮頸がんはどんな検査をするの?

問診……生理の状態や妊娠・出産歴、中絶経験などを聞かれます。

内診……医師が膣内に指を入れ、もう片方の手でおなかを軽く押して、子宮や膣の状態、卵巣にはれはないかなどを確認します。

細胞診……細胞診は、綿棒やブラシを使って子宮頸部の表面をこすりとって、それを顕微鏡で調べます。検査自体には痛みも出血もなくすぐに終わります。検査前にビデなどで膣内を洗浄してしまうと、正しい検査ができなくなることもあるので、やめましょう。また自己採取で検査する細胞診もありますが、正しく採取できていないこともあるので、おすすめできません

●細胞診の結果の見方は?

検診の結果は、クラスIからVで表されます。これは細胞の状態であって、がんの進行状態ではありません。クラスⅠIIは陰性、クラスIIIに分かれていて疑陽性です。IIIaは軽度に異形成の可能性があり、定期的な検診で様子をみますが、80~90%は自然に消滅してしまいます。IIIbは高度の異形成の可能性があるということで、10~15%はがんに進行する可能性のある前がん状態です。クラスIVは、がんの進行期でいう0期の上皮内がんの可能性があるということ、クラスVは、I期の浸潤がんの可能性があるということです。

クラスI 陰性 正常な細胞
クラスII 陰性 良性の異型細胞あり
クラスIIIa
 〃 IIIb
疑陽性 軽度異形成の可能性
高度異形成の可能性
クラスIV 陽性 上皮内のがんの可能性あり
クラスV 陽性 浸潤のがんの可能性あり

●細胞診で異常があった場合は?


組織診……コルポスコープ(膣拡大鏡)で膣を拡大して診察し、疑わしい場所から組織の一部をはさみのような器具で切り取って、顕微鏡でくわしく検査します。子宮頸部の浅い部分には痛覚がないので、痛みはほとんどなく多少の出血がある程度です。この検査で、がんのタイプ程度治療法が決まります。

円錐切除術……がんの進行の具合をみるなど、さらにくわしい検査をする場合に円錐切除術を行います。これは、検査であると同時に異形成や0期の上皮内がん治療でもあります。子宮頸部の一部を円錐状くり抜き、その組織を細かく切って、顕微鏡で検査します。その結果、早期のがんであることがわかれば、治療は終了ということになります。切り取った部分よりさらに広がっているようであれば、子宮を取るなど次の治療に進みます。


診断後の検査……子宮頸がんと診断されれば、さらに直腸診、直腸鏡検査、膀胱鏡検査、腎盂尿管造影、超音波断層検査、CTスキャン、MRIなどの検査で、進行具合をはっきりさせます。
text/Mami Kakuta
illustration/Tomoe Sasaki

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