健康

【医師監修】痔 PART2女性のこころとからだ事典

■記事監修医師
・女性のこころとからだ事典 からだ編 記事監修
東京都立築地産院産婦人科医長経て
いけした女性クリニック銀座 院長
池下 育子 先生

産婦人科医
医療法人社団鳳凰会フェニックスメディカルクリニック理事長・院長
賀来 宗明 先生

痔を治す専門は、肛門科です。肛門科が近くにない場合は、外科になります。治療したくても、なかなか行く勇気が出ないものですが、初期のうちなら薬と日常生活の改善で治ります。最近では、女性専用の時間帯を設けたり、少数ですが女医さんのいる病院も出てきました。どうしても行きにくい場合、産婦人科でも薬を処方してくれますが、やはり専門医にかかるのがベストです。

どんな診察をするの?
問診
どんな症状か、いつ頃から症状があるかなどを聞かれる。

視診・触診・肛門視診
視診で患部を確認し、肛門視診では、肛門に指を入れて痔の状態を確かめます。必要があれば、肛門鏡で中の様子を診ます。
気になるのは診察の際の姿勢ですが、ベッドに横向きに寝ておしりだけを出し(シムス体位)、あとは布をかけてくれるところが多くなっています。最初から婦人科の内診のような体位になることはあまりありません。

●日常生活で痔の悪化を防ぐには?

痔の原因の多くは、生活習慣によるものです。特に初期であれば、日常生活に注意するだけで症状もかなり改善します。

1.便秘・下痢をしない
便秘ほど痔に悪いものはありません。まず、朝は余裕を持って起き、朝食をしっかり食べて、排便する習慣をつけることが大切です。また、食物繊維と水分をたっぷりとりましょう。無理なダイエットも便秘の原因になります。また、下痢もおしりに刺激を与えます。下痢ぎみの人は、痔ろうになりやすいので、注意が必要です。 
2.おしりを清潔に保つ
痔になると、傷やイボなどで細菌感染しやすくなります。紙でふくだけでは、大腸菌はおしりに残ってしまいます。洗浄機能付きのトイレを利用したり、シャワーなどでいつも清潔にしておきましょう。
3.毎日入浴する
痔核や裂肛には、入浴が効果的です。全身の血行がよくなるのでうっ血を解消してくれます。ぬるめのお湯にゆっくりとつかりましょう。 
4.同じ姿勢をとらない
長時間同じ姿勢でいると、おしりの血行が悪くなります。1時間に一度は体を動かして、座りっぱなし、立ちっぱなしにならないよう気をつけましょう。特に、しゃがむ、かがむという体勢は避けたいものです。
5.冷えを防ぐ
冷えると血管が収縮して、血液の循環が悪くなります。特に痔核は悪化します。冷え性でなくとも、足腰の保温を心がけましょう。ただし、肛門周囲膿瘍と痔ろうは、膿んだ状態なので温めるのは逆効果です。
6.排便時間を短く
トイレに長くいると、それだけで肛門に負担がかかりますし、寒い時は、血管が収縮してうっ血しやすくなります。理想的な排便時間は、1~2分程度。いきむ時間が長いと、肛門に負担がかかります。
7.アルコールを控える
お酒を飲んで血行が良くなると、おしりの血管はうっ血を起こします。症状がひどい時は飲まないのがベストです。また、辛い食べ物などの刺激物もやめましょう。
8.疲れやストレスをためない
寝不足や不規則な生活、ストレスも痔を悪化せます。痛む時は、リラックスしてゆっくり過ごすようにしたいものです。
理想的な便って?
目には見えない体の中の様子を教えてくれるのが便。理想的な便を知って、きちんとチェックしたいものです。

茶色から茶褐色が健康な色。黒い便は、血液が混じったもので、胃や十二指腸などからの出血が原因と考えられるので、すぐ受診すべき。真っ赤な血が混じった便は、直腸や肛門からの出血。
1回にバナナ1~2本が適量。
太さと長さ バナナぐらいの太さと長さが理想的。
硬さ 練り歯磨きより少し硬いぐらいが理想的。
におい 肉類や刺激物を食べると強烈なにおいがすることも。また、腸に悪玉菌が増えている時にもにおう。そんな時は、オリゴ糖入りヨーグルトや梅干しなどを食べて、ビフィズス菌を増やして、悪玉菌を撃退。
illustration/Tomoe Sasaki

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